赤崩観音堂
赤崩観音堂
十月十日
笹野観音 ── 海老ヶ沢大橋 ── 赤崩観音堂
 米沢市の南東部、合併前の南置賜郡山上村には置賜札所が二つ設けられていた。 二十一番と二十二番、赤崩の観音堂と関根の羽黒堂。現在はどちらも札所に含まれていない。 羽黒堂は明治五年に改まって羽黒神社となり、聖観音像は同じ関根の普門院が引き受けたと云う。札所番号は後に広野が継いだ ... 小野川が二十一番となったのは明治二十五年と伝える。その経緯は詳らかならず、元札所の観音堂は今も昔と変わらぬ場所にある ...
 直江石堤への道案内に従い、真っ直ぐ過ぎて落ち着かぬほど広い道の先、海老ヶ沢大橋を渡る。 渡ると手書きの地図が立ててあった。是より赤崩地区か。更に観音堂の林の近くまで来ると、畑地の間に入口を示した立札がある ... 境内の左右に並み立つ杉が瞭然と日陰を作る。参道の苔むした敷石の奥に、赤い屋根のこぢんまりとした御堂。 向拝の恐らく貘さえ控え目なのが、却って廉潔に思われた。かつては此処が置賜霊場の最南端 ...
 創建の由来は不明。口碑も全く無いと云う。天保の屋根葺替えの棟札が残るばかりで、境内の巡礼碑はより古く、鰐口も安永八年奉納だとか。 意外と最近の講中巡礼の写真もあった。祭礼は普門院が執り行っているらしい ... 本尊は聖観世音菩薩。立像の厨子の下には、僧形か菩薩形か、夥しい数の小像がひしめいていた。 それこそ人の祈りの降り積む心地して、やまかみにわけていりへのあかくずれ おつるいさごはるりのひかりぞ ...
■長井市史編纂委員会『長井市史 第二巻 近世編』1982年
■後藤博『出羽百観音』1996年
■置賜日報社『置賜のお寺めぐり 3市5町の360寺総覧』2001年
■米沢市教育委員会『米沢の神社・堂宮 6 山上地区』2011年
■置賜民俗学会『置賜の民俗 第20号』2013年

2019-11-11

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106