中生居竹の入観音
八月二十五日。上山巡礼の資料に二十余字のみ記された観世音。
大慈院を春に訪ねた折、確かに御堂があると聞いておきながら、明日でよい事は今日しない、あしたあしたと今頃か
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場所は漠然と「竹の入と云う地の山のほう」あとは道々問えば良し。下生居の如意輪尊より手前の丁字路で集落に入り、橋の袂から山手へ歩く。
用水に魚群、日陰にひとり猫。都合良く出会う人も無いまま、大きな屋敷の傍の小高い所に御堂が見えてきた。
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林道大金入線の終点出口から簡素な階段を上がる。元は立派な石段が通じていたのだろう、上から数段ばかり残っていた。林道開削でわざわざ壊したのか
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ややくたびれた感じの小堂ながら、敷地は草々に沈むことも無く手入れしてあった。小さな鰐口を鳴らしつゝ内を覗くと、暗中ぼんやり詠歌らしき額が見える
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踏み跡を辿って神明神社から林道終点に戻り、傍の家を訪ねてようやく、御堂こそが竹の入観音だと確認できた
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元禄四年まで過去帳が遡るその御宅が、観音堂を守っている。十一面観音と伝わるが由来は詳らかならず、大慈院より古いかも知れない云々
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お茶一服の後、御堂を開けて頂いた。内部の広さは半畳ほど。棟札に拠れば明治四十五年の建立。
詠歌額には「二十二番 中生居」、大慈院と同じだった。天井画の龍に弁才天の様は火難除けか
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今や巡礼も滅多に寄らない。大慈院の春の大般若会に合わせて、ささやかに祀るのだとか
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■山形テレビ編『やまがたのお寺さん −山形市の一部と上山−』1976年
■寺尾満『上山三十三観音』1998年
■寺尾満『上山三十三観音』1998年
2017-08-26
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TOM
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