松尾山観音
松尾山観音
上の山観音---龍王橋---金瓶---半郷---松尾山観音
 九月二十二日。最上巡礼十二日の二つ目。花立峠へ上ってゆく羽州街道を見送って弁天交差点までの間は、家並が急速にひなびてくる。車こそ頻りと過ぎて行くものの、賑わいとは映らない。茂吉記念館の辺りは秋桜が盛り... 古い道筋は早めに須川を渡って、泉川から中川村や半郷の方へ繋がっていたらしい。龍王橋が架かったのは昭和の初め。天童でもないのに将棋の駒から名前を引いたかと適当に思っていたが、龍山と蔵王の事だったとは。聞いて納得... 金瓶のコンビニで昼食を調達。正午前には別当に着きたいものと、書店の看板の手前から古そうな細道を上る。田圃の角に石灯籠。松尾山参道の入口向かいの別当では、御夫婦が笈摺に朱印を頂いていた...
 松尾山観音の松応寺は和銅元年に行基の開山。後に斯波兼頼が寺領と仏堂を寄進したと伝える。観音堂は更に下って室町後期の建立とかや、国の重要文化財。近代しばらくは銅板葺きの時期があったものの、現在は立派な萱葺き屋根に復元してある... 御開帳に当たらぬと見られないが、本尊の観音勢至二立像は最上札所随一の快作。共に高さは三メートルを超え、内陣狭しと肩を寄せ合う。素朴にして柔和なたたずまい。元は二尊を脇侍として阿弥陀三尊を成していたと伝える... 御堂の大きな扉を開ける。近くを流れる松尾川の細やかな音が、石畳の参道を越えて御堂の中まですっと入ってきた。聞きながらしばし合掌。よどみなくうまずたゆまず、山水の妙法やむを知らず...
 軒で休む間、何組かの参拝が来ては去った。どうやら写真撮影のみの客が残り、なす漬け一個を余して腰を上げる... 御詠歌、このかみは幾世へぬらんたよりをば 千年をここにまつの尾のやま。次はいよいよ打ち止め、七番の岩波へ。
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2014-09-25

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106