高松観音
高松観音
長光院---赤禿峠---久保手---花立峠---四ッ谷交差点---鶴脛町---高松観音---かみのやま温泉駅
 九月二十日。最上巡礼十一日の三つ目。長谷堂別当の長光院を発って、もうのんびり行こうと旧国道で山を越える。現国道の長谷堂トンネルであっても、立派な歩道が設けてあるので危険は無い。朝から通行量の多い道路を歩いて、菅笠が飛ばされぬよう気遣うのに疲れたのかも... 赤禿峠と呼ぶらしい。以前、自転車で下った時はもっと急な坂道だと感じていた。車は滅多に通らないが、低速な大型ダンプが採石場か資材置場に向けて必死に上ってくる時がある。それと軽トラック。一帯に葡萄畑など農地が広がっている... 上り切って熊野岳。控えめに天保の馬頭碑が立つ。葡萄棚は収穫を終えて味気なくも、久保手の田圃に稲刈りが進む。国道と合して花立峠の地蔵尊。大石に堂々「従是南上山領」にて、おにぎり休憩...
 此処から羽州街道は上山御城下へ急降下する。御城が見えぬまま、四ッ谷交差点から南へ折れた。あとは高松まで一本道。ときどきランナーとすれ違うのは、近々のハーフマラソンの為か。さっぱり走らない走れない者からすると、途方もなく凄い事をしている風に見えている... 葉山温泉を過ぎて家並も車の行き来も寂しくなり、程なく高松観音の鳥居を前にする。石段をひとつひとつ踏みしめながら、御堂に近づくと蚊が纏わり付いてきた。そのまま堂内まで憑いてきて、いまさら虫除けスプレーを浴びる... 最上札所の最南端。米沢千眼寺と共に師走の裸餅つきでも知られるが、まだ見た事は無い。本尊は行基御作を伝える正観世音菩薩坐像。上山三十三観音の第三番、上山十体観音の第六番、それぞれの詠歌額が納めてある...
 最上札所の御詠歌は西国と似ている歌が多いと云われる。似ているどころか意図した改作に違いない。或いは直接の改作ではない歌も含めて、何か経緯が隠れているものとは察している。それらを抜きにしても当地の御詠歌は出色であり、詠人はどんな人物かと考えずには居られない... 御堂を出ると丁度、家族ひと組と入れ替わり。標的が増えた為か、もう蚊は寄ってこなかった。虫除けスプレーは結局あまり効いていない。地区の集会センターの方へ下って別当へ、後は少し戻って駅へ直行。彼岸の仏前に備えるのだと、饅頭を買うて来いとは云われていたが... 御詠歌、高松ややしまのほかの波までも しずかなる夜に月はすむなり。本日はここまで。次はかみのやま温泉駅から、十番の上の山へ。
十番 上の山 ←《最上三十三観音 十一番》→ 十二番 長谷堂

2014-09-23

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106