長谷堂観音
長谷堂観音
三河村観音---反田観音堂---国道四五八号---長谷堂・城山八幡崎口---長谷堂観音---別当長光院
 九月二十日。最上巡礼十一日の二つ目。資料や文献で策を廻らせば幾つか行程は考えられるものの、この辺は分かりやすく行く事にした。須川の三河橋から反田橋の間は堤防を歩き、反田観音からまっすぐ国道に出る。最短でも旧道でもない... 集落を避けて田圃を通した国道は見晴らし抜群。今日も蔵王連峰がすっきり眺められるまでは良いが、本沢の里山越しに見る三吉葉山は、随分遠くに思われた。あれより南が上山の高松... 山形八中前のコンビニの駐車場で翁に声を掛けられた。つい先日、金札十巡目を果たしたと。長谷堂はきついと頻り「夕方が特にきつい」。詣る人みな、必ず麓から歩いて登らねばならぬ...
 余所に目を奪われぬままに菅沢を過ぎて主水塚。葡萄の店には客が集まっていた。城址公園駐車場のあずま屋にて休憩。老いた母と娘らしきが登ってゆくのを目で追いながら、固形栄養食を一個... 長谷堂の札所は長谷堂城址の内にある。古くは小滝街道にあり、別当寺は瀧の山の寺院群の一つだったとも。後に上杉の雑兵共を追い払った最上氏の堅城。時には南の伊達氏に分捕られたりと慌ただしく、まず巡礼どころではない... 八幡神社で先の二人に追い付いてしまった。殊に媼の足取りは覚束なく、ひと声掛けたが何処まで行くかは聞かずにおいた。後は一心に観音堂へ。急ぐ用も無いのに、脇目も振らずとはこの事か...
 もったいないほどの陽光が境内に満ちる。奥は雷神堂。静寂ただよう中、遠くに鈴の音がした。御堂の内ばかり涼しい。大和長谷寺由来の本尊十一面観音は秘仏。尤も納め札が多すぎて、内陣を窺うことすら能はず... 読経の合間にも再び鈴の音を耳にしたが、結局誰も来なかった。南へ下る観音坂の石段は、掃き清めたばかりの様に草葉ひとつ落ちていない。彼岸花の緋色ばかり際立つも、いつしか秋と云うには鮮やかすぎる... 御詠歌、いくたびも参る心は長谷堂の 山も誓ひも深くなりけり。次は花立峠を経て上の山、十一番の高松へ。
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2014-09-21

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106