岡村観音
岡村観音
落裳観音---平塩橋---平塩熊野神社---国道四五八号---岡村観音---了広寺---羽前山辺駅
 九月十六日。最上巡礼十日の四つ目。高速道路の下を抜けると寒河江サービスエリア続きの緑地がある。落裳観音で思い出さなかったが此処で休んでも良かった。車も譲り合う平塩橋、これで最上川も見納めとなる... 遠回りながらも平塩熊野神社。門前の家並からまっすぐ延びる参道には人も無く、鈴の音だけで水路の鯉が寄ってくる。杜の奥深くに響く柏手。今年も参拝できた安堵の為か、取って返す道の足取りがわずかに軽くなったような... 此処から山辺の街まで、西山の裾を歩いて行くことになる。軽トラック一台が目一杯のような国道でも、街道としての由緒は古い。村ごとに様々な社寺があり、暮らしと信仰が緊密だった頃の気分がなお漂う...
 岡の村は高取山の麓にあり。県外ナンバーの乗用車は県指定文化財の柏倉九左エ門邸か、または千手観音の参拝か。先に別当宅を伺うと、猫の出迎えを受けた。その後に御主人。嗚呼岡村はこの笑顔だったと思い出す... 陽はやや西に傾き始め、開け放たれた御堂の裏手から射す。鐘を静かに鳴らそうにも綱を巧く御せず、五回かすれて三回分とした。観世音の前に坐して、ゆっくり息をはく。三十四札所の内二十八番目。巡礼終盤だが、まだまだ... 山門を辞して小学生たちも帰り道。稀に、立派なバイパスを通りたがらない自転車乗りやランナーとすれ違う。途中から黙々と歩いていた様で、視線を感じて顔を上げたら恐竜の置物が口を開けていて、声を出さずに驚いた...
 御詠歌、今朝みれば露おかむらの庭のこけ さながら瑠璃の光なるらん。本日はここまで。次は羽前山辺駅から、十三番の三河村へ。
十三番 三河村 ←《最上三十三観音 十四番》→ 十五番 落裳

2014-09-19

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106