世照観音
世照観音
富沢観音---国道四十七号---向町---天徳寺(世照観音)---最上駅
 八月十二日。最上巡礼五日の三つ目。唯一の番外札所は向町の天徳寺。当所がある為に最上を三十四所と数え、荘内と置賜とを合わせて山形百観音または出羽百観音とする... 世照観音は子安観音坐像。元は向町の月蔵院が奉仕した観音菩薩で、江戸後期に天徳寺へ遷されたと伝わる。最上番外として公に定着したのは昔の話ではないが、古くから地域の巡礼納めの観世音だったらしい... 現在の札所本尊は位牌堂の中に納めてある。皆々様が整然と静かに並んでいらっしゃる所、ちょっとお邪魔させて頂く感覚。沈着として行を勤める。今日も無事に、予定した行程を歩く事ができた。これだけで有り難いのに、更に願意を重ねる厚かましさよ...
 最上町一帯は小国郷と呼ぶ。江戸の終わりに向町の豪商が西国三十三所の土を持ち帰り、石工と相い図って三十三所の石仏を郷内に配したと云う。天徳寺は此の小国西国三十三観音の第三番だが、後に第一番と第二番の石仏も遷り来て、山門の傍に並んでいる... 山門を辞した処で休憩を促されたものの、何となく先を急いだ。先と云うてもすぐ近くの最上駅までなのだが。ちょうど駅前で雨が降り始める。お茶を頂戴していたら、もっと派手に濡れていただろう... 御詠歌、世を照らす仏の誓ひありければ まだともしびも消えぬなりけり。本日はここまで。次は最上駅から、三十二番の太郎田へ。
三十一番 富沢 ←《最上三十三観音 番外》→ 三十二番 太郎田

2014-08-14

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106