一刎観音堂
一刎観音堂
 八月十二日。最上巡礼五日、山刀伐峠を下って赤倉温泉に向かう途中。もう少しで一刎の丁字路かなと思った頃、国道脇の高い所に小さな赤い鳥居を見つけたが... 標識が立っていなければ一礼して通過しそうな、ごく小さな御堂。小祠と云うた方が良いか。標識には「小国西国三十三観音札所」「二十二番 千手観世音菩薩 摂津国」とある。西国二十二番は摂津の総持寺... 資料に拠ると御堂には馬頭観世音と刻んだ石碑と、小国西国三十三観音の石仏が並んで納まっているらしい。嘉永年間に設けられた小国西国は社殿仏堂に配置されており、少なくとも当時すでに御堂があったのだろう... 山刀伐峠の道中に無事を祈り、あるいは無事に安堵して拝む馬頭尊。足だけは怪我せぬように願う。延々と歩いていると黙って信心に神妙となる。村はずれの祠や山道に埋もれた碑にも、かつて往来した人々の足跡を感じられるのは心強い...

2014-08-16

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106