尾花沢観音
尾花沢観音
上の畑観音---下原田---母袋街道---尾花沢中学校---尾花沢観音---パレットスクエア(尾花沢待合所)---大石田駅
 八月五日。最上巡礼四日の五つ目。丹生川を渡り直すと、しばらくは広大な農地を貫く一本道、ほとんど日陰は無い。ほぼ水田、土が見えれば西瓜の畑、異様に大きな黄葉は葉たばこ畑か... 相当ぼんやり歩いている隣に、車が停まった。窓が開いてお坊さんが顔を出す。尾花沢に用事があるから一緒に乗って行きましょう、と。全く思いがけぬ事に、しどろもどろ気味で丁寧に遠慮した。薬師寺の住職だったらしい... 下原田の商店でアイス一本、水分より氷で頭を冷やした方が良い。そばに地蔵堂あり。国道に出て振り返る。山刀伐峠は見えないか、鉄塔が並んで越えるは出羽峠か... 母袋街道は車の往来が案外に激しい。歩道も無く、老人のふらつく自転車を車両が何台もかわして行く。少年の自転車も向かい風で危ういのに、必ず挨拶してくれた。人の心配をして、風で菅笠が弾かれる...
 尾花沢市街に入ると急に暑くなり、代わりに人通りが稀となる。札所は芭蕉ゆかりの養泉寺。山門は閑として、納経所に媼が一人待っているだけだった。涼し塚さえ干からびそうなぬるい風。御堂の扉を開けると、籠った熱気が満ちている。息を整える間も待てずに読経を始める... 朱印を頂いて時計を見ると、急げばバス待合所から大石田駅行きに間に合う。でも疲れた足では五分五分。迷っていると、納経所の媼の娘さんだろうか、西瓜をどうぞと持って出てくれた。これで決まり、まずは急ぐまい... わしわし喰らう、たぶん餓鬼でも憑いたような態。厳暑散々徒ち歩いた末の瑞々しき西瓜、慎ましく食べよと云う方が偽善だが。皮だけ残して六道の沙汰を思い出す。別しては、尾花沢の尾花沢西瓜は当たり前に美味しいらしい。遂に次のバスまで待たず、大石田駅まで歩いてしまった... 御本尊は聖観世音。御詠歌、おばなざは仏の御手の糸すすき 手とるからにゆらぐ玉のを。本日はここまで。次は大石田駅から、三十番の丹生村へ。
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2014-08-09

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106