水口十一面観音堂 2013-08-19
水口十一面観音堂
 八月十九日。安永以来の本尊御開帳と聞いて行ってみた。如何にも中途半端な日時に、三方開け放たれた御堂の内まで蝉がやかましい。ちょうど参拝の人は途切れて、学生風の三人が堂内を丹念に観察中... もったい振る仕掛けは何も無し。簡素な厨子を全開にして、本尊の十一面観音立像が収まる。蓮華台を含めて三尺を越えるだろうか。両臂と爪先は失われ、華奢ながらやや踏ん張って立つ... 元は極彩色でとりどりに装飾されていたのだろう。各頭部の髪の暗色、生え際と眼に残る白が妙に生々しい。微かに引かれた眉と髭、起伏の少ない静かな面相... 御開帳によって観音堂の建立は、宝暦五年ではなく元文五年と判ったらしい。本尊観音像に関しては、何か調べるのだろうか... 裏の楯址に上る。一番上まですんなり行けた。全く感じない微風に田の緑ゆらゆら。かつて総朱塗りの観音堂はだいぶ褪せたものの、金色に美しく調えられた萱葺きが、往古のままにまぶしく...

2013-08-21

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106