水口十一面観音堂
八月十九日。安永以来の本尊御開帳と聞いて行ってみた。如何にも中途半端な日時に、三方開け放たれた御堂の内まで蝉がやかましい。ちょうど参拝の人は途切れて、学生風の三人が堂内を丹念に観察中...
もったい振る仕掛けは何も無し。簡素な厨子を全開にして、本尊の十一面観音立像が収まる。蓮華台を含めて三尺を越えるだろうか。両臂と爪先は失われ、華奢ながらやや踏ん張って立つ...
元は極彩色でとりどりに装飾されていたのだろう。各頭部の髪の暗色、生え際と眼に残る白が妙に生々しい。微かに引かれた眉と髭、起伏の少ない静かな面相...
御開帳によって観音堂の建立は、宝暦五年ではなく元文五年と判ったらしい。本尊観音像に関しては、何か調べるのだろうか...
裏の楯址に上る。一番上まですんなり行けた。全く感じない微風に田の緑ゆらゆら。かつて総朱塗りの観音堂はだいぶ褪せたものの、金色に美しく調えられた萱葺きが、往古のままにまぶしく...
2013-08-21
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TOM
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