新庄藩主戸沢家歴代の墓所は新庄市街の北の瑞雲院にまとまっていて、現在は国の史跡でもある。 ただ一人、香雲寺様とも呼ばれた二代目の戸沢正誠だけは、西山の桂嶽寺に廟所を構える。その夫人高岳院の菩提寺が高岳山松巌寺。 日蓮宗の寺として興ったが、高岳院の墓所となって後の貞享の頃、天台宗の東叡山中の真如院を本寺として、山号寺号を一新している。 高岳院は安芸浅野家から寛文元年に輿入れし、同四年に亡くなった姫様だとか . . . 表通りから、左右の樹木を伐り払った参道が真っ直ぐ伸びる。境内の南には墓域が広がり、隣の長泉寺が案外近くに見えた。 山門を抜けて先ず何となく六地蔵、それから本堂に一礼。御寺は留守の気配が漂い、鐘楼と並んだ観音堂に歩を進める。 簡潔な外観の中、朱色の褪せた扁額ばかりが目を引いた。御堂の観世音は立像の千手観音、行基御作と伝える。 新庄札所の第六番、おしなべてちかひを松のいわをでら　みちびきたまへしるもしらぬも . . .