初ヶ沢若松観音堂
初ヶ沢若松観音堂
六月六日
向町天徳寺の本堂も札所位牌堂も全くの更地となっていたのには早朝の眠気も吹き飛んだが、境内の奥に建立なった大本堂に合掌して山門を辞す。 門前を中学生が重そうな歩みで登校する時刻。最上札所の巡礼路なら次は国道を西へ三十二番と云うべき処、太郎田の手前から北へ逸れてみる。 道なりに杉林を抜けて、見えてきた集落が東法田の初ヶ沢。路傍に咲かせた数々の花の御陰で、白木の鳥居と小国西国の白い標識はたやすく目に留まった . . .
苔生す石段を上ればすぐ観音堂に至る。神木の大銀杏が空を覆う。巨樹の案内板に拠れば江戸時代の半ばには、観世音が村の守り神であったとか。 現在の質実な御堂は幕末の再建で、向背の精緻な彫刻にはかつての匠の名が伝わる。扁額は「円通堂」。 賽銭用らしき小扉から内を窺うと、祭壇中央の宮殿に祀られているのは坐像のよう。右の石仏は小国西国五番、葛井寺の千手観音。左側は立像か。 小国郷七観音でも第五番。帰りの石段は慎重に . . .
■最上町文化財保護委員会『文化財資料(九)小国西国三十三観音と最上町の風土』1975年

2024-06-21

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
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