山形神室 2023-05-26
仙人沢の滝 仙人沢渡渉点 古い標識 いわかがみ しろやしお 雪渓の端 山形神室 みやまきんばい あずまぎく しらねあおい
山形神室
五月二十六日
仙人沢登山口 ── だんご平 ── 山形神室 ── 笹谷峠
 峠から国道を下っただけでくたびれた。夏日だと云うから用心で加えたボトルの麦茶が重い。 涼しげに沢を見下ろす山躑躅。頭の上まで迫り出す節理には、小滝が軽やかに響く。降りそそぐ若い緑。流れ落とす音も清しき岩清水。 鶯がよく通る声で頻りと題目を繰り返す。大滝の沢を離れて、小さくとも岩カガミの花の色は深かった。 古樹に並んで咲き揃う白ヤシオ。粗い岩肌を這い上がり、もっと手際が良かった筈だと何事も齢のせいにする . . .
 尾根筋の傍でボォボォと山鳩が啼く。ぶな林の小径に点々と出遭う掌ほどの糞。沢の源頭はヒトが付けた目印でやかましい。 剣呑な雪渓の先、風も通わぬだんご平。ひと串三粒では寂しさも止まず。いつしか淡く曇る空を、小型飛行機の可細い音が横切る。 仙台神室はカミ隠れ。リュックを担ぎ直して山形神室の標識を過ぎる。見詰めれば葉を震わせる白根葵。谷を満たした薄い雲の端が、東から県境を覆い始めた。 すれ違う誰もが霞んでゆく . . .
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2023-06-02

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106