龍山 夏至
六月二十一日
真緑に蒸す森林。足元に生う苔が燐光を帯びるかの錯覚に、昨夜の微酒を疑う。小姥神の辺りで鳥の声を見下ろし、堂庭の笹を掻き分けて霊山神社の鈴を鳴らす。
前滝を覗き込んでから御崎に大天狗にと攀じる程に、やつれた躑躅が処々に出迎える。奢る人目にやつれたと云うても、立ち寄る飛虫は花と花とを丹念に検めている。
徐々に薄らぐ荘内の鳥海山。花を落とした岩鏡を前に、禅頂の方から明瞭な歓声が降る。週末を避けても仙境無し
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西蔵王放牧場 ── 護摩堂 ── 前滝 ── 龍山 ── 大姥神 ── うがい場
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昼が長いと云うだけで、陽射しまで割り増しに思われる。有らぬ所で行き交う下り客。標識がもう少し真面目でないと、蛮勇滾る若者は躊躇も無い。
ヘラハギから更紗も瓔珞も鈴なり始め。上ばかり眺めて、傍の白山千鳥を蹴り飛ばす処だった。白雲が沸く熊野岳。靴を滑らせた跡が重なる赤岩。
茂吉歌碑に陣取る大勢の御一行様の間を歩み迷う隙に、ヤンマが追い越してゆく。社殿の前の枝にあふれる薄黄色の小花。茱萸の花かと教えられた
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2023-06-25
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TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106