湯殿山まいり
九月十日
早朝の深林、静かに歩く。虫の音も鳥の声も程遠く、どこまでも続く踏み石を縁取る苔の色。
お山まで笠の波打つ当時は、苔なぞ生える隙も無かったか。白装束とも誰とも行き合わず、一の木戸の石仏に頭を垂れると、小さなトカゲと目が合った
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風の無い石跳川。のどかな沢の響きに、冴えざえしい竜胆の花の色。装束場には霞が立ち籠め、笹も鳴りを潜める。
此処はもはや十字路では無くなったかと、已むなく梯子に手を掛ける
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ネイチャーセンター(玄海広場) ── 元玄海 ── 石跳川 ── 装束場 ── 月光坂 ── 湯殿山本宮 (ほぼ往路を復す)
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雲中朦朧、剣の権現。水月光の危うさには岩の一々に嘆息をこぼす。丑歳は御縁年の湯殿山なれど、参詣の者はただ一人。
先月の月山本宮も一人だったが、こちらは神職が多い分、御神体巡りも環視に晒された心地。足湯で長湯を決め込む
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戻り来た装束場は晴れ上がり、微々たる花にも蜂が舞う。跳ねる石の白さに小腹が空いて、かじり付いたおにぎりは梅でなかった。
恐竜を探す寄り道、森の何処かで、わらべらの歓声が上がる
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2021-09-12
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TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
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