熊野岳
六月十八日
笹に埋もれた御田神を過ぎ、見晴るかす青天の主峰。歩むごとに白山千鳥が背を伸ばし、幾許もない雪塊より絶えず一条の水が滴る。
和三姥神にて四方に人影を捉えず、岩に戯れる姿は鴉のみ。山頂社殿を拝して後、行き交う三、四人はみな刈田の方から来る
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馬の背から細々と歓声が上がる。贅沢に満開する岩カガミ。道を隔てた峰蘇芳は小指の爪より小さな花を密集して相対す。
我先に咲き競う中、女王は薄緑の葉に沈黙を守る
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蔵王温泉 ── 祓川登山道 ── 熊野岳 ── 懺悔坂 ── 独鈷沼 ── 七曲 ── 上の台
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地蔵岳から懺悔坂に広がるトド松の白い影。風の音が増し、元からそうした樹であるかの如く刺々しく林立する有様は、某の地獄の絵図を見る心地。
冬の歓喜は上辺の事、何か知られぬ罪業の果てこそ
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見返峠に麦茶の残余は心許なく、索道の音が激しく誘惑する。
振り切って分け入る七曲、入口の薮は意図したものか知らず。枝葉と若干の悶着はあるにせよ、ふと心淋しげな鼻歌を除けば、気安い日陰の道。
独り登る赤いゴンドラ
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2021-06-21
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TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106