天養寺中村観音
天養寺 中村観音 置賜第四番
六月十三日
黒沢観音 ── 飯豊第一小 ── 中村観音朱印所 ── 岩松寺 ── 中村観音 (天養寺)
 県道一〇号を北へ。先ずは天養寺への案内板を通り過ぎ、旅愁を醸すコンビニを横目に程も無く、朱印所の御宅を訪ねた。 正午寸前の無調法。観音堂のリーフレットも頂く。「良い所だよ」と教えてくれた声には何処となく芯が通っている ... 天養寺は西の山中に有り。車道でも観音堂の近くまで行かれる処、拡幅されてしまった旧参道側を歩く。 妙に急な勾配を登り詰めると二基の月夜燈。清廉な杉並木の奥に早速、観音堂が見える ...
 御寺は昭和二十二年の火災で本堂と庫裡、記録を悉く失ったまま。本堂の跡に翌年小堂を建て、難を免れた不動尊の掛図を納めていると云う。 往時の様子は嘉永四年の絵馬に留めるばかり。観音堂の屋根は宝形ではなかったのか ... 堂内の要所や事物は見どころ逃さず、パネルで徹底解説中。御開帳と改元を前に整備したらしい。ひしと自治体の気迫。 ただ平安の観世音の御顔を拝まむと、余人の来ぬ間に這いつくばったりしたものの ...
 御堂と共に県指定文化財の聖観世音。天養寺以来別当では十一面観音としてきた。朱印も十一面観音と墨書する。 どちらにしても南無観世音。ゆめのよにふきおどろかすまつかぜを よくよくきけばみのりなるらん ... ホトケヤマの展望台までは行かず、参道近くの東屋でごまかしたら、薮が茂り過ぎて何の眺めも無かった。 構わず甘味と辛味を粉末緑茶で呑み込む。ぽつぽつと駐車場に来るのは昼休みの車。不動堂には雉しか居らず ...
■長井市史編纂委員会『長井市史 第二巻 近世編』1982年
■後藤博『出羽百観音』1996年
■置賜日報社『置賜のお寺めぐり 3市5町の360寺総覧』2001年
■置賜民俗学会『置賜の民俗 第20号』2013年

2019-06-30

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106