広野観音
広野観音 置賜第二十二番
五月十日
杉沢観音 ── 畔藤神社 ── 広野観音(一日目終了)
 杉沢で聞いた広野観音への道は、実は事前に地図上で想定した経路だった。 こちらが原動機付自転車と知って「いつもは県道を迂回してもらうんだけど」と、小回りに適した道を教えてくれた様子。 畔藤神社前の地蔵尊から西へ、丘陵を越える。聞いた通りに景色が進み、かなり詳細的確な教示であった ... 小山沢から七星神社。国道を渡れば札所はすぐに現れた。行き過ぎると睦橋。隣の公民館「広翔館」が朱印所と駐車場を兼ねる ...
 資料に拠れば置賜二十二番は当初、山上村の羽黒堂だったと云う。米沢市関根の羽黒神社の事か。明治九年、広野観音堂が札所を引き継ぐ。 御堂の創建は宝永二年。これに先立って寛永に開かれた新しい広野村の為、米沢上杉家菩提寺の法音寺から聖観音像がやって来た ... 杉並木を真っ直ぐ伸ばした参道。境内は曾ての別当長楽寺の敷地らしい。安政の常夜燈の三日月に釣られて、御堂の屋根に載った、少々緩めの破風が気に掛かる ...
 堂内は電燈の下、中央の厨子に観世音を拝す。光沢の無い黒みの立像。腕より流れる衣の軽やかさがさりげない。 伝え聞く御手の傷は癒えたのか、白布なぞは見えず。左右の脇間に六観音が並んでいた。まゐりきてあほげばたかしまつかぜの つきせぬこゑぞちかひなるらん ... 公民館で朱印を受け取り、白鷹町の札所を全て終えた。本日はこれまで。一日で九か所とは近年稀に見る早打ちだが、まだまだ先は長い。次回は五十川から ...
■白鷹町教育委員会『しらたかの歴史をたずねて』1981年
■長井市史編纂委員会『長井市史 第二巻 近世編』1982年
■後藤博『出羽百観音』1996年
■置賜日報社『置賜のお寺めぐり 3市5町の360寺総覧』2001年

2019-05-28

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106