長源寺(長瀞)

長源寺 中通り第三十二番 附 子安観音堂
十一月二日 / 大昌寺 ── 蟹沢橋 ── 長瀞 ── 長源寺
 北へ向かう巡礼道は白水川を渡って長瀞に入る。程なく右手に現れる大きな山門は龍空山長源寺、開山が永仁年間に遡る念仏道場。 山門は長瀞城から移築したとも伝え、明治十五年の伽藍焼亡の折も無事に残ったらしい。格天井の絵が間近に見られるのは、勿体無い気もするが ... 庫裡は留守だった。本堂手前の御堂は「子安」の額を掲げ、山形百八地蔵の七十九番とか。 境内を見渡しても他に御堂は無く、別して観世音の標示も無し ...
 やや腑に落ちぬまま結局、観世音菩薩の幟が立て懸けてあった地蔵札所の御堂にて読経。 違っても観音経に係わる誼みで御容赦を。念のため本堂の前でも勤行一式。あなたうとみちびきたまえ観音寺 遠き国より運ぶ歩みを ... 地蔵尊と共に、長源寺の観世音もまた子安観音と聞く。境内の裏に小学校があるのも故無き事と思われず。 後日電話で御寺に尋ねた処、御堂はそのまま地蔵堂だった。観世音は本堂の中との話。ひと先ず得心 ...
十一月二十九日
 前日に電話で諒解を頂き、改めて御寺を訪ねた。外観に比べて奥行きのある本堂。中通りの観世音は此の本堂に奉祀されてあった。 精緻な西国三十三観音の立ち並ぶ中央に、凛とした姿の大きな尊像。謹厳な宝冠をかぶり、傍らに持蓮観世音と記す。猫背が少し伸びる心地 ... 資料に云う境内戊亥の観音堂あるいは子安観音について尋ねると、御寺の観世音ではなく別の場所にあるとの事。 すぐ近くですからと、案内して頂いたところ ...
 表通りを挟んで、畑地の奥に子安観音堂があった。場所は確かに長源寺の北西。通りから見えてはいるが標識も無く、気付きにくい。 尤も一部資料の文章が紛らわしい事は判った。御寺に拠れば地元の人々で管理しており、御婦人方が定期的に集まるのだとか ... 扉の硝子から窺うと、中は掃除が行き届いた雰囲気。観世音は御簾に隠れているらしい。 御詠歌に、まつかぜやおともゆかしきさくらだの こやすのもりぞありがたきかな ...
■山形テレビ編『やまがたのお寺さん 第四集 −天童・東根・村山−』1980年
■(不明)『開創百周年記念 新西国中通札所 御詠歌』1992年 ※正法寺にて拝領。
■大風印刷編『続・山形のお寺』2006年

2018-11-12 / 追記 2018-11-30

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106