安養寺
安養寺 中通り第二十六番
九月十四日 / 林松寺 ── 藤助新田 ── 安養寺
 羽入の林松寺から藤助新田へ北西に通じていた筈の道は、横切る国道の中央分離帯で、絶妙に通り抜けられなくなっていた。 遵法的に線路跡を辿ろうとして、やや手間取る ... 大正五年から昭和一〇年まで東根市神町と河北町谷地を結んだ谷地軌道、通称「いもこ列車」。 緩くカーブして村を通り抜ける道が曾ての線路だが、軽便鉄道の形跡は何も無い。 藤助新田駅があった辺りの四辻から北へ向かうと、真宗山安養寺の参道に着いた ...
 御寺は村の開拓と同じ頃、元和年間に開かれたとされる。最上川に近い土地柄、村は幾度と水害や凶作などに見舞われ、御寺の維持も難渋を極めたと云う。 火災など度々の災難の為、御寺の詳細は余り伝わらない。そんな中でも本尊の阿弥陀立像や、札所の観世音である秘仏の十一面観音像は、守られてきた ... 秘仏観世音は、本堂の一隅に据えられた開かずの厨子に納まる。春は花夏はたちばな秋は菊 いつも妙なるのりのはなやま ...
 住職に拠れば、厨子を開いたと云う古い記録も何も無かったが、昭和から平成に改元した折、一度だけ御開帳を行ったらしい。 修復も施して金色に甦った当時の観世音の写真が置いてあった。また元号が変わるから、と住職は含みつつ ... 昔は観音堂もあったのだとか。大正七年、鉄道の火の粉が原因となった藤助新田大火。御寺も焼亡したが、本堂は昭和に再建を見た。 周囲に広がる田圃では稲穂が静かに揺れる。羽州葉山が大きい ...
■山形テレビ編『やまがたのお寺さん 第四集 −天童・東根・村山−』1980年
■鈴木覚瑛『東根ふるさとものがたり 第二集』1980年
■(不明)『開創百周年記念 新西国中通札所 御詠歌』1992年 ※正法寺にて拝領。
■大風印刷編『続・山形のお寺』2006年

2018-09-30

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106