泉福寺
泉福寺 中通り第二十番
八月十三日 / 自宅 ── 小関沼 ── 泉福寺
 蝉の音も遠くに閑かな盆の入り、御寺は朝から御堂を開け放ち、墓参や盆礼の人を迎える。漂う線香のかおりが暑気を和らげる ... 家ではいつの頃からか、十四日から墓参りに出掛ける。 親戚めぐりの都合でそうなった様な感じだが、出向くべき処が少なくなったこの頃も、日にちは何となく変わらない。 午前中に墓参りが済むとそのまま、客の少なそうな蕎麦屋か何処かで食べて帰る。わざわざ行列してまで冷やし云々に執着も無く ...
 中通り六日目は、第十九番そばの小関沼を横目に納めて、高木の翁沢山泉福寺から始める ... 臨済禅の泉福寺は慶長年間の開山。門前の説明板に記された大陸様の尊像は、隣地にかつて存在した黄檗宗の寺から遷されたものだとか。 その辺は適当に流して山門をくぐると、左に札所の観音堂があった。 点々と墓参の檀信徒方がいる境内、何の挨拶もせず去るのも頓狂かと思われ、庫裡に巡礼の旨を伝える。住職が御堂を開けて下さった ...
 独立した観音堂は成安寺以来。御堂に納められているのは西国三十三観音で、新海氏が彫ったものだと云う。 百花や十二支を描いた格天井と、色褪せの少ないむかさり絵馬の彩りに、狭い堂内の気配が深密になる。 心做しか誦経の声も控えめに。野をもすぎ山路にむかふ雨のそら よしみねよりも晴るゝ夕立 ... 御堂を出ると陽射しが一段とまばゆい。墓参りを終えた家族連れが本堂へ入ってゆくのを見遣り、こちらは山門を後にする ...
■山形テレビ編『やまがたのお寺さん 第四集 −天童・東根・村山−』1980年
■(不明)『開創百周年記念 新西国中通札所 御詠歌』1992年 ※正法寺にて拝領。
■成生地域づくり委員会『成生ふるさと散歩 −成生荘−』2004年
■大風印刷編『続・山形のお寺』2006年

2018-08-14

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106