高源寺
高源寺 中通り第十二番
六月三十日 / 自宅 ── 高源寺
 巡礼四日目は土曜日。週末のお寺さんは法事に当たりやすい、とは云え已むなし。参詣好日に天気と気分に乗じて、頭殿山へ行ってしまったのだから。 夏を越す六月みそかに寺々を詣でてはらう塵芥もあり ... 中通りで最も南の札所、今塚の東養山高源寺。境内に車が駐めてあったものの誰も居らず、庫裡の呼鈴にも返事は無かった。 花壇の整った緑の陰に供養碑が並ぶ。どこか短いような宝篋印塔の傍に、外れた九輪が置いてあった ...
 元和八年に開かれたと伝える曹洞の寺、札所本尊は本堂の内かと思い定めて合掌。みなかみはいづくなるらん岩間でら 岸うつ波は松風の音 ... 大郷三十三所としては第十番、ぼんのうの夢もさめけり高源寺 ほとけのちかいたのむ心は。 本堂の側に立つ石鳥居は何れの為のものなのか、一見してはよく分からなかった ... 此処から巡礼道は北へ、東根長瀞に向かって進む。留守の札所は後から確かめながら、夏を過ぎてゆくだろう ...
十一月二日
 長瀞の禅会寺から帰る途中に寄ると、御寺の方が居られた。 早速どうぞどうぞと本堂を開けて下さったものの、慌ただしく庫裡へ戻られた後は、幾度か呼べど誰も現れず ... 本堂の脇間に札所の観世音が並んでいた。厨子に納めた聖観音らしき菩薩像と、周囲を固める最上三十三観音や西国十二番の千手観音、等々。 最上の三番までと西国十二番の四像は、他よりひと回り大きい。ようやくまみえた心地に、手短な勤行もゆっくり進む ...
■山形テレビ編『やまがたのお寺さん 第二集 −山形市の一部と山辺・中山−』1978年
■大郷郷土研究会編『大郷の伝承』1976年
■大風印刷編『山形のお寺』2000年

2018-07-01 / 追記 2018-11-25

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106