外原森観音
外原森観音
 八月二十四日。上山巡礼の締めくくり、元札納めの森の観音。 地図上でタケダワイナリーの裏と見当を付けて行ってみると、四ッ谷の大日堂の少し上から外原の森の方へ、然して新しくもない道筋が通じている様な気はした。 観音堂は森の一番高い所にあり、誰も住んでいない気配の民家の前からは、歩いて坂を上がってゆく。 途中こそ見晴らしも良かったが、御堂の周囲は樹木鬱蒼として何の眺めも利かない。立ち並ぶ石仏も悉く損壊...
 称念寺に遷るまでは当地が上山三十三観音の三十三番だった。札所から外れた後、地元で石の十一面半跏像を奉祀し、今は元札納として再び巡礼が訪れる。 現在の観音堂は昭和五十三年の再建だとか...田舎の集会場のような暢気な堂内。御本尊は祭壇に出し惜しみなく安置されてある。 御詠歌は称念寺と同じとされるが、此処は敢えて額絵に認められた一首を。わらだすきそとはらむらにあとたれて よのさしもぐさすくいみちびく...
 上山三十三観音および上山拾躰観音の四十所すべて巡り終えた。五月下旬から始めてちまちまと、今回の巡礼も三か月も掛かったが... 上山三十三観音の三十五所に限れば、寺院がそのまま札所なのは六所のみ。多くは上山盆地に点在する集落を順々に訪ねて、村の観音様を拝んでゆく。 観世音への静かな信心に支えられた巡礼路だった... 遠乗り慣れしてない自転車も人も、壊れもせずにまずまず持ち堪えた。それだけでもありがたい。
三十三番 称念寺 ←《上山 元札納》          
■上山市北部地区公民館発行『ふるさと北部』1992年
■寺尾満『上山三十三観音』1998年

2016-08-31

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106