称念寺観音
称念寺観音
 八月二十四日。新丁のクランクを小路へ折れると、正面に山門が見える。上山三十三番、浄土宗の一聲山称念寺。車庫の前に拾躰観音二番の石標も残る... 資料に拠ると称念寺は、元和八年の上山立藩を機に金谷の庵から現在地に遷ったと云う。今も金谷観音の近くに称念寺の墓地があり、金谷との縁は浅くない。 また上山三十三観音の成立は享保十八年、当寺九世快全和尚の発願による。この年、弁天の外原森に観音堂が建てられた...
 その三十三番だった外原森の観世音を明治に寺の境内に遷し、別当の称念寺がそのまま三十三番となった。 御寺の講中の便宜を計ったらしい移転が、札所をひとつ増やす結果に落ち着くとは、思いも寄らなかっただろうが... 本堂に向かって右手の小さな御堂が観世音。本尊は秘仏の十一面観音とか。ぷらりと初めて寄った日から六年を経て、再び御前に手を合わす。 御詠歌、わらだすき外原森をあとに見て みのりの庭のここに北町...
 庫裡に朱印を請い、念のため拾躰観音の事を尋ねると、意外にも観音堂とは分けて本堂の奥に安置されていた。位牌堂の厨子に囲まれて西国三十三観音。 拾躰二番の御詠歌、ことごとに誓いも高き称念寺 ただひとこえもすてぬみほとけ。ひと足先に上山拾躰観音を満願... 後から考えれば金谷観音の次は、外原森から北町へと巡拝した方が、距離も札納も順当だったか。ふだらくの旅路も今はおひづるを ぬぎておさむる北町のてら...
三十二番 金谷 ←《上山 三十三番》→ 元札納 外原森
■山形テレビ編『やまがたのお寺さん −山形市の一部と上山−』1976年
■寺尾満『上山三十三観音』1998年

2016-08-28

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106