金谷観音
金谷観音
 八月二十四日。上山巡礼最終日は三十二番の金谷村から。とは云いながら巡礼中盤以降、行程の都合でほぼ毎回、前を通過していた。 ようやく御堂に向かって手を合わせる、感慨ひとかたならず...金谷の千手観世音。創建は詳らかならず、長く地元の鎮守として護持されてきた様子。 資料に拠れば現在の御本尊は安政年間の開眼で、当時の別当は、蔵王上山口の別当職として活躍した安楽院。今も廻立の苅田嶺神社として残っている...
 「円通殿」の扁額を掲げる御堂は昭和三十一年の再建。前年の八月に落雷焼失し、忽ち四月には再建遷座を成した事が、境内の再建供養塔に刻してあった... 御堂の内を窺うと、内陣を守る格子と欄間は何かしら質実な感じだが、格天井に目を移すと一転。しなやかに描かれた諸々の草花が咲き揃う。 御詠歌、のちの世をいのるねがいやかなやなる 千手のはすの花向かふまで... 次はいよいよ三十三番。泉川を経て羽州街道に戻る...
三十一番 足の口 ←《上山 三十二番》→ 三十三番 称念寺
■中川郷土史編さん委員会『中川郷土史』1987年
■寺尾満『上山三十三観音』1998年

2016-08-26

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106