楢下観音
楢下観音
 六月十一日。藤沢から電信柱を追うて農道を走る。人は果樹に攀じ、田圃の見張りは専ら青鷺達が担う。バイパスを横切って、渡った橋を後から聞けば嘉平橋。山形で見慣れた須川と、同じ川とは思えない... 楢下宿は、バイパスが出来て間もなくの頃に立ち寄った以来。真新しい広い道路は余り好みでないので、其の時もバイパスは通らなかったが... 観音堂も何年ぶりになるだろう。旧街道の傍にあり、隣の浄休寺より目に付く...
 狛犬待ち構える石段に始まる境内は、如意山福聚寺を号した天台寺院の故地らしい。明治の初めには既に無住だった様だが、観音堂は昭和八年に再建されるなど護持されてきた... 御堂の内は賽銭を差し入れる隙から覗くより他なし。資料の外観写真、さては火の見櫓から撮ったか。御詠歌、夏山のならの下葉を吹く風に いく夜たび寝の夢やさむると... 好天ながら本日はここまで。次回の連結に、小笹の県道までは行っておいた...
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■寺尾満『上山三十三観音』1998年
■上山市『市報かみのやま』No.1242 (平成19年8月1日号) 2007年[加藤和徳『上山ふるさと再発見63/観音堂と大黒天』]

2016-06-16

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106