上関根観音
上関根観音
 六月十一日。延命寺の前を通過すると、ほどなく丁字路に「細谷口」の看板が目に入る。右に折れれば八番の春光院、なお直進五〇メートルで上山十二番... 境内の入口に立つ札所の石標には、側面に寛保二年の文字。観音巡礼が定まって後九年して設けられたらしい。傍の丸い石群は、無縫塔の一部か... 他にも立派な石塔石碑が多い。倒壊無残な様もそのまま残る。資料に載る愛宕権現や保呂羽様などは、観音堂の右側にあった...
 御堂の戸に手を掛けると、からからと開いた。無人の御堂はおおよそが開かないものだから、開いた時には正直驚く。屋根裏で大袈裟にばたついたのは鳥だったが姿は見えず... 内には標語らしき紙が幾つも貼ってあった。なるほどと思うものあり、それほどでも無いものもあり。先ずは三上の観世音に「合掌は心の静まるまで」云々。 御詠歌、御仏のみつる福寿をもろ人に 二世とあとふるかみの関根に...次は皆沢、京塚の観音堂へ。
十番 中関根 ←《上山三十三観音 十一番》→ 十二番 皆沢
■寺尾満『上山三十三観音』1998年

2016-06-13

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106