須刈田観音堂
須刈田観音堂
 四月二十九日。前明石堀込から須川を越え、小滝街道を上山市に入る。最初の集落が須刈田。此処の観音堂は小高い場所にあって、道路からは気付きにくい。上山市街へ折れる丁字路を少し過ぎて、供養碑が集まった辺りが入り口。徒歩限定... 短いながらもジグザグに手の込んだ道を上り切る。御堂は開け放してあった。誰も居なかったが、祭事だったのかも知れない。内には戦艦陸奥と複葉機の写真、それと「勢至観世音」の提灯...
 史料に記された「勢至堂」の様。厨子に納められた御本尊は立像で、頭部こそよく見えなかったが、合掌した姿。地元の念仏講の拠り所として勢至さまであり観音さまであり、延いては弥陀仏とむすぶ縁に疑いなし... 小さな板に御詠歌が書かれていた。壬戌は大正十一年か。宝珠に種子印が二つ並んだ跡もうっすら。板の下部が欠けて読めぬ所はそのままに、あなとうとみちびきた□□すかりだ□ くわんぜおんにぞはこぶあゆみ□...
■江口哲夫『山元村誌 上巻』掲載の「明和元年 狸森村指出明細帳」に「勢至堂 同所村頭ニ御座候」とある。同所とは前行の「山神堂 枝郷すがり田入口ニ御座候」を受けている。江戸時代の須刈田は狸森村の枝郷だった。
■山形県教育委員会『昭和五十六年度 山形県歴史の道調査報告書 小滝街道』1982年
■江口哲夫『山元村誌 上巻』2000年

2016-04-30

TOM
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