






護摩堂まで
龍山に小さな雲が引っ掛かる。真白に照る牧区の何処にも人の動く影は無い。
深雪の林道を駆けるスノーモビルの軌跡。川沿いの雪原に誰ぞの淋しげな足跡が残る、思い返せば先週の自分だった。
前回は深すぎる新雪と強風に霰も混じり、度々の長考の末にコヌカ原で引き上げたが、それから消えなかったとは。
スノーモビルが北の伐採地へ逸れてゆき、下からかんじきやスノーシューの跡が現れた。互いに踏んで踏まれて垢離掛けの森へ向かう
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踏み跡は一様に、垢離掛け場から直登して小姥神を目指していた。こちらは山道なりに外れて、ウサギの先導に従う。
樹上の雪はほとんど落ちていた。雪の重みに裂けて倒れた幹もあれば、全くアーチにたわんでもなお堪える枝もある。
小姥神の坂に差し掛かり、森の奥から鳥の険しい声を聞く。雪虫は踏まぬよう、見つける度によろけてしまう。
再び合流したかんじき跡は堂庭を横切って唐滝の方へ去った。霊山神社の参道は誰も辿っていない
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開山慈覚大師を祀る霊山神社は昨年、社堂の屋根などが修繕された。屋根から滑り落ちた雪が御前にうずたかい。
神酒を奉る気も利かず、賽銭だけ納めて山行出直しの年の諸々無事を祈る。微風が杉木立を抜けて、細かい雪を降らせる。
春を待たずに轟く戸草沢。最前は何も無かった雪の上にテンの足跡、ひと足先に下りていったらしい。
コヌカ原に戻ると曇天の一角に青空が見えていた。まだ歩き足りぬ気になって、大森山の近くへ寄ってみる
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2025-01-24
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TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
