羽州葉山 2023-10-26
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十分一峠から羽州葉山
十月二十六日
十分一峠登山口 ── とんぼ沼 ── 奥の院 ── (往路を復す)
緑苔の岩を重ねた涸れ沢を短かく通り過ぎて、それからはずっと、ぶな林を登ってゆく。 午前も遅めの陽の光は柔らかい。樹々の黄葉は更に金色に燦々、褐色にやつれた葉さえ照り映える。 風も吹かず誰も啼かず、広めの道いっぱいに積もる落葉に、靴の音も潜り込む。とんぼ沼の水面は、白い雲と青い空が半々。 奥の院から馬蹄形の尾根づたいに耳をそばだてても、鈴の音ひとつ聞こえない。 三角点山頂へは向かわず、社殿の裏で茶を口に含む . . .
月山の頂は仄暗い薄雲を冠っていた。雲より下に斑らの雪を見せている。 七月に畑の集落から往復した折も月山の景は然して良くなかったが、小さな池塘に咲き初めるミツガシワのお陰で吉とした。 とんぼ沼が花で賑わう頃には来合わせた事が無い。国道の冬季閉鎖も近い今時分は、枯れ色の茎ばかりがくたびれた姿を晒す。 枝から枝に四十雀が一羽、彼もまた声を立てること無く離れてゆく。急がぬ足で忽ち登山口。二輪のシートの落葉を払う . . .
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2023-10-28

TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106