登降三度
六月二十二日
北尾根を回ってぶなの森に入る。宝沢の朝の雲はもっさりと低く、若々しく明るげな樹影に、少し湿った空気が淀む。
一時も休まぬ鳩の声。わざわざ山鳥が走り出て、ようやく自らの丈ほど浮かんで飛んでゆく
...
他に誰と遇う事も無く、考え込んだまま越戸を跨ぐ。やつれて残る谷うつ木の花。
一葉もそよがぬ唐松の笹原で窮した思索は、堰堤工事の奇景に泡と消えた。向かうべき龍の赤く剥がれた断崖に、煙のような薄い雲が漂う
...
■
2020-06-25
previous . . .
TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106